1月9日にクラブ公式サイトから5名の退団が発表になった。12月にフランスへ旅立った大滝も含めれば6名と昨年度の安田有希が引退、竹山裕子がエルフェンへ移籍と2人がチームを離れたのと比較すれば人数は増えたし観戦回数も格段に多いこともあり、やはり今季は個々人への思いを書き留めておきたい気持ちが強い。
○大滝麻未:FW 2013/6-2014/12
不振にあえぐ中、当時の手塚監督が辞任するというどん底のチーム状態のところへ大滝は突然やってきた。早稲田大在籍時にも数回見ており、その決定力とスター性はこの年の大学女子サッカー界では随一と言えた。卒業後なでしこリーグのどのチームに所属するのかと注目していたが想像の斜め上を行き、フランスのオリンピック・リヨンへ加入する。しかしそこでポジションを獲ることは叶わず契約延長も果たせなかった。
レッズへ加入した年はヨーロッパでのフルシーズン後の着地がうまくいかなかったのか故障もしてほとんど出場する機会がなかったと記憶している。今季はFW3番手の位置をユースの清家と争う形でスタートしたが結果としては思うように得点を挙げられなかった。試合前のウォーミングアップで高く蹴り上げるリフティングを披露する基礎技術の高さを持つ反面、試合では足元でもらってコントロールするよりも走り出した数歩先で受けるかDFとGK間へ飛び出して勝負するポイントへのスルーパスを好み得意としていたが、現状の中盤からはうまくボールが出てこなかった。10月のホーム湯郷戦終盤に清家の立て続けのゴールをアシストしたようなパスを自身でも欲しかったのだろうが、その後のジェフ戦で決勝点を挙げたゴールが唯一大滝らしいものでこれをアシストしたのは奇しくも清家であった。
地域活動や応援番組などでのインタビューなど明るい性格も幸いして着実に人気を獲得していたし、秋以降生まれた習慣、試合前のピッチ上でのウォーミングアップ前に陸上トラックを複数でジョギングする姿の中に必ずいたのは不意に最年長になってしまった背景も考えれば大滝が誘い合わせて始めたようにも思えて(確証全くなし)、何度か勢いが削がれて停滞しかけた局面で彼女なりにチームを下支えしていたのは間違いないと思っている。
そして再びフランスで勝負することを決めて、来た時のように突然旅立っていった。新天地での活躍を期待するとともに、またどんな形でも浦和に戻ってきて欲しいとも空想している。
○泊 志穂:FW 2012/4-2015/1
加入の噂は早い年は秋頃から聞こえてくるもので、泊についてはインカレ準決・神奈川大戦を西が丘で観戦している段階で知っていた。その試合で敗退したのだけれど劣勢の0-3から強烈な左足で1点返して見せ、またその年は全女本戦2試合でも1点づつ決めていて、大滝のところで「随一」と書いたのをすぐに否定しなければならないのだが比肩する力があった。今これを書くために確認しようとインカレのパンフレットを取り出してきたが、第20回の表紙にはその大滝と泊がいる。それに加えて泊は前年の第19回にもいて一瞬見間違えたほど。それほど大学時代の実績は際立っていたが、スタートで少し出遅れたところがあって、まして単身知らない土地で社会人生活を始めるハンデもあって、時間は掛かってしまった。それでもユースの試合観戦に訪れて、スタンドから応援をする習慣がないジュニアユースの選手たちに大阪体育大流(?)の振り付けを指導していわばお姉さん振りを垣間見せてくれたのは懐かしい記憶。
本人に焦りはあったかもしれないが今季終盤から少しづつベンチ入りするようになり、27分と短い時間内でも走り回る姿からは完全に体の切れを取り戻しているのが窺えて、来季右サイドだけではなく左サイドでの起用もあると思っていた。
長野パルセイロレディースへ。2トップの一角かサイドアタッカーかどのような起用になるかは定かではないが、浦和での三年間での経験をうまく活かして順応して活躍して欲しい。最初の年からはないとだろうが来々季にはたぶんキャプテンを任されているはずで、今季は結果を積み上げることに集中できればと思う。
○成合 瞳:DF 2012/4-2015/1
泊を見た西が丘のスタンドに松葉杖を携えて座っていたのが成合。彼女の加入内定は10月中と早かったので噂ではなくこの段階ですでに周知の状態。右SBには土橋優貴が聳え立っていてそれはすぐにポジションを取れる状況ではなかったが、レッズランドでのTMでもう一列前で起用された際に遠目の距離をものともせずにこぼれ球を左隅に蹴りこんで決めたシーンが、それだけが思い出せる。故障続きと人づてに聞こえてきたが三年間を節目と捉えたのか福岡J・アンクラスへ。降格後のチーム状態は芳しくないかもしれないが故郷にも近くなるし新天地で頑張って欲しい。
○齊藤あかね:DF 2011/4-2015/1
ジュニアユースから常盤木学園へ、そしてマリーゼへ進んだが休部のあおりでレッズへ。この年のアルガルベカップでなでしこ選出されている。デビュー戦は9月の狭山戦で右SB、この後語る坂本と共に出場する。GKも池田でこの三人で低い位置でボール回しをしてスタンドから悲鳴が上がるが本人たちは涼しい顔だったのを憶えている。ハーフタイムに二人で話している様子は壁紙になっている。
TMでの起用も含めて、GKとCB以外のポジションはすべてやったはずでどこでもそつなくこなしたが、本人は点が取れる位置が一番好き。交代の玉突きでFWに上がる時にうれしそうに走っていたる姿が象徴的。今季はどこでもできるユーティリティ性からベンチには入るが、スタメンは猶本離脱で柴田のボランチ起用で空いた右サイドを務めた終盤の数試合に留まった。
長野パルセイロレディースへ。やればできる子。泊以上にどこでの起用になるか定かではないがFWの一角か右SBか、いずれにしてもチャンスが来たらしっかりと掴んで、掴んだら離さないこと。
○坂本理保:DF 2011/4-2015/1
言わずと知れた(?)私が横断幕主。横断幕作成時に選ばれますようにと願いをこめたローマ字表記に応えて(?)U-20代表にも選出、2013年度はオールスターにも選ばれた。熊谷、西田、矢野とCBが抜けた中でチャンスを掴んだが、今季は度重なる故障で5番目のDF以上の位置を越えられなかった。宮間、上尾野辺、高瀬クラスにしか失点を許していない平尾が反応できないコースに蹴りこんだオウンゴールも今ではいい思い出(苦しい)。広い視野とカバーリング能力に内に秘めた負けん気でCBとSBも経験したがアンカーのポジションも充分果たせるはず。
長野パルセイロレディースへ。大学卒業を機にいい決断だと後押ししたい。ロングフィードを支えるパワーはつけて欲しいが社会人○りと関節系のケアに気をつけること。
○堂園彩乃:MF/DF 2008/4-2015/1
どの監督からも堅実な選手として評価され、徐々にポジションは後ろの方へ。それでも資質はFWにあったと思われ、1-0で勝つゲームで必ず得点していた印象。それを最後の皇后杯準決勝の先制点で見せつけて7年間の現役を引退する。お疲れ様でした。そんなわけであのままFWで使われ続けていたらU-20までは順調に来ていただけにブレイクスルーがあったのかもと妄想。たまに積極性に欠ける日があって、私は密かに「金の彩乃」と「銀の彩乃」と名づけてヒヤヒヤすることもあったけれど浦和の6番らしいとまとめてしまおう。
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今季はユースの方も20試合以上観戦する機会を得たので、その都度感じて書いたこととダブるかもしれないが卒業する7選手に一言づつ。
☆新井純奈:DF
安定感抜群のCBとして大戸の後を継いで通年で活躍した。国体群馬県選抜にも連続出場し、すでになでしこリーグ2部クラスの実力(ってチーム自体がその水準にあるわけだが)はある。はね返す守備だけではなくビルドアップに参加してリズムを作ったり長めの縦パスを通すセンスも持ち合わせている。黙々と働くタイプなのか仲間を鼓舞する場面はあまり見られなかったけれど、そろそろ代表呼んでください高倉さん。次のステージでも自信を持ってやりきってください。
☆三浦紗津紀:DF
CBとボランチに位置することが多かったか。お嬢様っぽい風貌で静々と途中から入ってきて場を落ち着かせるとかクローザーの役割なのかと思いきやCKに飛び込んで頭で合わせて得点するいい意味で捕らえどころがないポジション。伸びしろはまだ相当あると思うので次のステージでも頑張ってください。
☆清家貴子:FW
今季はレディーストップチームで説明無用の大活躍。U-19/20どころかフル代表まで見えてきた充実の1年で、来季昇格と書くのに違和感すらあり逆にユースチームでの活躍は昨季以前へと遡らなくてはならないが、途中から入って得点を奪い取ってくる場面を何度も再現して見せてくれた。右寄りの位置からドリブルを始めてゴールまで奪う得意なパターンを持ちながら湯郷戦と皇后杯ジェフ戦は1点目のイメージをうまく利用して別の切り口で2点目も奪うという引き出しの多さも。途中からの切り札ではなく90分出て結果を残せたらもうフランスとかでの外交のご公務もありえます。
☆山田美緒和:MF
トップ下も多かったがボランチの位置で出て強烈な左足からのロングフィードが武器。チェイスされても粘り強くポジション取りをして長いの蹴る場面やワンツーもらって自ら抜け出して遠目からでも打つ場面は見ていて本当に楽しい。きっと次のステージでは大暴れするはず。国体東京都選抜は左利きだから(以下自粛)だったりしたけれど、引き続きチャレンジしてください。
☆村社汐理:DF
意外といっては失礼かもしれないが関東リーグ緒戦にキャプテンマークを巻いて出てきた時は驚いた。それでも試合後の挨拶はものすごく上手だし、落ち着きも出てそれまでの気弱な女の子イメージをすぐに払拭していった。左SBが主戦場。切り返してペナルティエリア角からファーへ打つシュートもうまい。サイズもあるので次のステージでは前目のポジションもやってみてほしいのだが。
☆柳澤紗希:MF
ボランチとトップ下。広い視野と天才肌の柔らかいタッチによるボール捌きでリズムを作ったチームの心臓。ムードメーカーでもある。再びリハビリの時間帯となるけれどじっくり治してから前線のサポートやゴールを見せてください。
☆清水 栞:GK
優れた反射神経によるシュートストップとコーチングに秀でた元気なGK。国体東京都選抜。中3のフィールドプレーヤー10人を従えて出た場面はまるで担任の体育教諭。鈴木、松本と居並ぶ環境下で出場機会は少なくなりがちだったが次のステージでたっぷり経験を積み上げてほしい。
【1/22追記】中村みづきの早稲田大への「移籍」が発表になったため追記。
○中村みづき:MF 2014/4-2015/1
突然の発表に驚いているが「期限付き移籍」と解釈すれば昨今の高卒・昇格組が陥る数年間を「準備期間」に費やす傾向も考え合わせると理解はできる。在籍期間は1年と書いたが2種登録の期間があり、その期間に年代別代表選出も加わってリズムを崩してしまった印象。中盤での起用になるだろうが蹴って進める早稲田のサッカーにあのキック力はかなりの貢献となるはずだし、新天地での復活と成長を待ちたい。
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新時々日記
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2012年度以降の浦和レッズレディース 試合結果・観戦記一覧はこちら。
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投稿者: にっき
全部浦和が悪い。全競馬場・競輪場踏破目指して時々旅打ち。競りは好きだが斜行は嫌い。京王閣で聞いた「後ろ見てねえで前踏め!」という野次の通り生きていく。基本は乗り鉄。関本玲花おじさん見習◇。雲ゆえの気まぐれ。ちゃんとして!今度泣かす。
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